親知らずが痛くなったり腫れてしまう原因の多くは、智歯周囲炎と呼ばれるものです。
しっかりとはえるスペースがない親知らずは半分だけはえたり、埋まったままになることがあります。半分だけはえている場合、歯と周りの歯ぐきの間は非常に歯磨きがしづらく、汚れが溜まりやすいです。親知らずが全く見えていない状態でも、実は歯周ポケットが深くなっているというケースもあります。
親知らずとは
親知らずとは、永久歯の中で一番奥に位置する歯で、智歯(ちし)や第三大臼歯とも呼ばれています。大人の歯は親知らずを含めると32本ありますが、中には親知らずがはえてこない方や、もともと親知らずがないという方もいます。
人間の顎は次第に小さくなってきているといわれており、そう下変化に伴い歯の本数も少なくなってきています。親知らずがはえるべき位置にしっかりはえてこない、埋まったままになっているケースも、顎が小さくなり歯がはえるスペースが狭くなっていることが関係しているようです。
しっかりとはえなかった親知らずはのちにトラブルの原因となることが多く、放っておくのは危険です。
親知らずによるトラブル
痛みが出る、腫れる
気付かぬうちに親知らずの周りに汚れが溜まることで炎症が起こり、痛みや腫れの他にもお口を開けづらくなることもあります。何もせずとも痛みが出る場合もありますし、触ると痛む、飲み込むときに痛むなど痛みの種類もさまざまです。特に体調が優れないときや免疫力が下がっているときなどは、智歯周囲炎が進行しやすくなります。
また、親知らずがはえるときに、歯ぐきや手前の歯を押すようにはえてくることがあります。この場合にも違和感のような痛みを感じます。スペースが十分にあればやがて痛みが落ち着き、しっかりとはえてきますが、スペースが足りないと押し上げるような痛みがしばらく続きます。
親知らず特有の痛みが起こることもありますが、他の歯と同様に虫歯の痛みを感じることもあります。一番後ろの歯は歯ブラシが届きにくく汚れが溜まりやすいため、智歯周囲炎だけでなく虫歯のリスクも高いといえます。奥歯の一番後ろに痛みや腫れを感じる場合には、歯科医院で親知らずの有無や虫歯の有無、どのようにはえているかなどをレントゲンでチェックするのが良いでしょう。
口臭が気になる
親知らずの周りに汚れが溜まると、炎症や痛みだけでなく口臭の原因となる可能性があります。
歯ブラシが届きにくいことで不衛生になりやすく、虫歯のリスクも高いことから注意が必要です。
親知らずが痛み出した時の応急処置
親知らずが急に痛くなってしまったときは、まずは受診することが一番です。
歯科医院では痛みや腫れを抑えるためにまずは抗生物質や痛み止めなどの薬を処方することが多いです。口内を清潔に保つためにうがい薬を処方する場合もあります。免疫力を高め、状態が落ち着いてからまた受診し、必要に応じて抜歯などの治療に進むケースが多いでしょう。
では、痛みが出てもすぐに通院できなかったり夜中に痛くなってしまった場合、どのような応急処置をしたら良いでしょうか。
うがいをする
親知らずの周りが痛く腫れているということは炎症が起きているサインのため、少しでも細菌を減らし清潔にすることが大切です。水でも良いですし、うがい薬でうがいをすることが大切です。アルコール成分の強いうがい薬は刺激が強すぎるためかえって逆効果になってしまうこともあり、注意が必要です。
歯磨きをする
溜まった汚れが原因で痛みが出ている場合、汚れをしっかりと落とし、細菌を減らすことが大切です。なるべくヘッドが小さくやわらかい毛先の歯ブラシを使うと良いでしょう。届きにくかったところにも歯ブラシの毛先が当たるはずです。また、親知らずの周りの歯ぐきに炎症が起きていることから、優しくなでるように磨くことがコツです。それでも痛い場合には無理やり行う必要はありません。
ゆっくり休む
親知らずが急に痛くなった場合、体調と関係していることが多く、疲れていたり、体調不良や寝不足など免疫力の低下の影響を受けやすいです。痛みは我慢せずに痛み止めを服用し、しっかり栄養を摂って体力の回復に努めることが大切です。
食事に気をつける
固い食べ物などを食べると親知らずの周りを刺激し、余計に痛みが増してしまう恐れがあります。やわらかい食べ物などしっかり噛まなくても食べやすいもの、かつ栄養のあるものを摂ることが大切です。
まとめ
親知らずは必ずしも抜いたほうがいいとは限りません。
しっかりはえて噛み合わせの機能を果たしている場合や完全に埋まっていて支障がない場合などは、そのままにしておくことがほとんどです。半分だけはえていてリスクが高い場合でも、しっかり歯磨きができていたり症状が出ていないのであれば早急に抜く必要はありません。汚れが溜まらないようにセルフケアをしっかり行うことや定期的な歯のクリーニングをすることで痛みが出ないように努めることもできます。
歯科医院では親知らずがどのようにはえているか、将来的に起こりうる症状などをレントゲンも含め確認することができます。状態によっては抜いてしまったほうが良い場合もありますので、気になる場合にはご相談ください。
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